ぼうけんの書評

書を持って、街へ出よう

見えない魔力『なぜ気づいたら、ドトールを選んでしまうのか?』

最寄駅の近くにドトールがある。

格別、好きというわけではない。

でも、コーヒーが美味しいのと、何となくの居心地の良さに惹かれて、時間がある時はついフラッと寄ってしまう。

昨日もそんな感じで、そのドトールへ入ろうとした。

しかし、その直前、普段持ち歩いている本を今日は持ってきていないことに気が付いた。カフェ内で本を読むことが習性なのだ。

そこで先に隣の本屋へ寄り、持ち込むべき本を物色する。

小説や漫画の気分でも、学術書の気分でもなかったので、サラッと読める面白そうなビジネス書あたりを探していた所、丁度良いものを発見。

なぜ気づいたらドトールを選んでしまうのか?

なぜ気づいたらドトールを選んでしまうのか?

タイトルがズバリ、『なぜ気づいたら、ドトールを選んでしまうのか?』。今まさに、僕自身に起こっていることではないか!

これは早速読むべしと、ブックカバーなしで買い、隣のドトールで本書を大きく見開いて、店員さんにさりげなくアピールしつつ、読破した。

以下、われわれが知らず知らずのうちになぜドトールにハマってしまうのか、本書をもとにそのマジックについて語りたい。

ドトールはこだわる

ドトールは品質に徹底的にこだわる。喫茶店だけに当然コーヒーの味にはうるさい。

たとえば豆なら、安定した品質を年中キープするために、産地にも、産地の中の農園にもこだわる。

輸送や保管はワイン並に行い、その後の焙煎工程では、素人では絶対分からないレベルで宗教的なまでに質を追求する。

さらには、その後の抽出工程、フードメニュー、食器、シュガー袋、オペレーション、教育の細部に至るまで、こだわり抜く。

凄いと思うのは、そのこだわりが我々には気づかれないくらい自然であること。

何となくドトールのコーヒーが飲みたくなる、ドトールが居心地が良いと感じるのは、こうしたハードコアなこだわりから来ている。

ドトールは度外視する

ドトールは時にコストを度外視する。

初期には、150円のコーヒーを出すために、2300円のカップと1700円のスプーンを使っていた。いいものを安く提供する店であると、伝えたかったから。

今でも予算のことはあまり考えないようにメニュー開発を進めているらしい。

ドトールは喧嘩する

ドトールは一部フランチャイズである。だから、ドトールを運営したいオーナーがやってくる。

しかし、自らの価値を伝授するために、時にオーナーと激しくやりあう。

ドトールは、金では動かない。金を超えた価値、即ちコーヒーを通じたお客の豊かさを生むためにしか動かない。

まとめ

良い仕事は、受け取る側がその良さを言葉でうまく表現できなくても、無意識では伝わる。

そんな事実を、普段の自分の何気ない行動の過程で意図せず発見してしまった。

世の中には、ドトールのようにこっそりと良い仕事をしている会社が、もっとたくさんあるのだろうなと思う。